バレエはレオタードを着てトゥシューズを履いて、クラシックの曲に合わせて踊る…というものだけではありません。
どうしても「白鳥の湖」などのチャイコフスキーの三大バレエのイメージがあるかと思いますが、それは「クラシック・バレエ」という種類の一つに過ぎないのです。
この記事では、バレエにあるいくつかの種類について解説していきます。
ロマンティック・バレエ
ロマンティックバレエは、現代のバレエのルーツとなっているダンスです。
17世紀にフランスのパリに設立した「オペラ座」を中心に「ロマンティック・バレエ」が確立し、浸透していきました。
フランスでは神秘的で自由なものを尊重する「ロマン主義」が台頭しており、バレエも大きな影響を受けていたのです。
妖精や悪魔などが登場するファンタジーチックな世界観が特徴で、ストーリーを踊りで表現します。
ロマンティック・バレエのダンサーは「ロマンティック・チュチュ」と呼ばれる膝丈までの長さがあるチュチュを着ます。
一般的なバレエのイメージとして連想される「つま先立ちで踊る」「軽やかなジャンプ」といった動きは、ロマンティック・バレエで生まれたものです。
クラシック・バレエ
クラシック・バレエとは、フランスから伝わったバレエがロシアで独自に発展したものです。
ジャンプや回転といった、バレエにおける技術面が重視されているのが特徴です。
技法は厳格に定められており、技法を生かした振付がなされます。クラシック・バレエが発展したことで、バレエの技術は大きく発展しました。
クラシック・バレエに用いられる「クラシック・チュチュ」は、丈が短く、クラシック・バレエで求められる難易度の高い動きにも対応できるようになっています。
この「クラシック・チュチュ」の誕生と、表現技法の確立によって、バレエの技術は進展しました。
クラシック・バレエの魅力は、ダンサーの卓越した技巧によるダンスの美しさです。その美しさを活かすために、作品の中で物語の内容と直接関係のないダンスシーンが入ることも多くあります。
モダン・バレエ
モダン・バレエは技術重視で厳格なクラシック・バレエに対抗してできたバレエです。
モダン・バレエは自由な表現に重点を置いたバレエで、トゥ・シューズを履かずに好きな衣装を着られます。
ダンサーは基本的に裸足であることが多く、クラシックバレエにない新しいステップを取り入れながらユニークなダンスを踊ります。
これまでのバレエにあったストーリー展開や、独特のファンタジー性などは排除し、抽象的な動きのみで構成しており、人体の動きの美しさのみを追求したようなものになっています。
決まった曲や振付なども存在しません。各ダンサーが自分の個性を、ありったけの技術で自由に表現するのがモダン・バレエです。
バレエの種類を知ることでもっと楽しめる
バレエには「チュチュ」「トゥシューズ」というイメージがあったかもしれませんが、モダンバレエのように自由な表現を受け入れるバレエもあります。
ただ、どのバレエでも趣旨が一貫している点が一つあります。それは「美」を追求する姿勢です。
人間が美しく舞い、人々を魅了する。その表現を追求し続けているのがバレエの歴史と言ってもいいでしょう。
ぜひあなたも様々な種類のバレエに触れ、バレエが美を追求してきた歴史と魅力の奥深さを感じてみてくださいね。