三大バレエの一つとしても有名な「眠れる森の美女」。
チャイコフスキーが「白鳥の湖」の次に手がけたバレエ音楽であり、初演は1890年とされています。
セリフのないバレエ鑑賞では、演技の意味を知るためにも作品のストーリーを知っておくのは、バレエの舞台を楽しむために大切なことです。
この記事では「眠れる森の美女」のあらすじや、作品の生まれた背景をご紹介します。
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バレエ音楽「眠れる森の美女」とは?生まれた背景
チャイコフスキーは初めてバレエ音楽「白鳥の湖」を作曲した当時、実はあまり評価されていませんでした。そんな中で作曲した2作目のバレエ音楽が「眠れる森の美女」です。
そんなチャイコフスキーに「おとぎ話の『眠れる森の美女』を題材にしたバレエ音楽を作ってほしい」と依頼したのは、帝室劇場総裁のフセヴォロシスキーでした。
フセヴォロシスキーは、フランス童話を盛り込んだ台本をつくり、チャイコフスキーを感動させました。
この台本に感動したチャイコフスキーは嬉々として作曲に取り組んだと言われています。
作品の魅力は善悪のギャップの表現にあります。とくに第1章、第2章では強調されていますが、婚礼の日を迎える第3章ではそのような表現はなくなります。
チャイコフスキーの自信作でしたが、初演から3年後の1893年に他界したチャイコフスキーは、後にこの作品が高い評価を得たことを知ることはできませんでした。
ちなみに、眠れる森の美女はチャイコフスキーのバレエ音楽の中で最も演奏時間が長い作品です。
原曲に基づいた上演の場合は、上演時間は3時間を超えます。普及している縮小版でも、2時間を超える上演時間となっているのです。
バレエ「眠れる森の美女」のあらすじ -プロローグ-
舞台はオーロラ姫の誕生に伴う洗礼の式典。
妖精たちが集まり、オーロラ姫に授け物をしていました。
そこに自分が洗礼に呼ばれなかったことに激しく怒った、邪悪な妖精カラボスが現れます。
カラボスは「オーロラ姫は20回目の誕生日に、針で指を刺して死ぬでしょう」と呪いをかけたのです。
善の精・リラの精は必死にカラボスの呪いを解こうとしますが、完全に取り払うことはできませんでした。
そこで、リラの精は「姫は指を刺してしまいますが、死ぬことはなく眠ります。100年間の眠りの後に王子様が現れ、彼の口づけで目を覚ますでしょう」と告げます。
バレエ「眠れる森の美女」のあらすじ -第1幕-
舞台はオーロラ姫の20歳の誕生日。国王はオーロラ姫の祝宴を始めました。
祝宴の中で、オーロラ姫は何者かから紡錘(ぼうすい)を贈られます。
※紡錘とは糸をつむぐための細い棒のこと。
オーロラ姫は紡錘を持ったまま踊り、誤って指を刺してしまいました。
紡錘を贈ったのはカラボスだったのですが、リラの精が現れます。リラの精は、オーロラ姫は死ぬのではなく眠りにつくと改めて告げました。
オーロラ姫が目覚めた時に誰もいなくなっているとかわいそうなので、みんな一緒に目を覚ませるように、リラの精は城にいた全員に眠りの魔法をかけます。
バレエ「眠れる森の美女」のあらすじ -第2幕-
舞台はオーロラ姫が眠った100年後。
森の中で狩りを行っていたデジレ王子に、リラの精がオーロラ姫の幻を見せました。
デジレ王子はオーロラ姫の幻を見て、あまりの美しさに一目ぼれ。デジレ王子はリラの精に頼み込み、城に連れて行ってもらい、オーロラ姫に会いに行ったのです。
100年経った城の中から眠っている姫を見つけ出し、デジレ王子が口づけをすると、オーロラ姫は目を覚ましました。
オーロラ姫が目を覚ましたと同時に、城の者も全員目を覚まします。
デジレ王子は、目覚めたオーロラ姫に結婚を申し込みました。
バレエ「眠れる森の美女」のあらすじ -第3幕-
舞台はデジレ王子とオーロラ姫の婚礼の日へと移ります。
さまざまな妖精が結婚を祝福しています。そこにはリラの精はもちろん、呪いをかけたカラボスの姿もありました。
2人の婚礼を祝い、華麗な踊りが次々と披露され、フィナーレを迎えます。
あらすじを知って「眠れる森の美女」のバレエの演技を楽しもう
以上が「眠れる森の美女」のあらすじです。
バレエの見どころは、オーロラ姫の美しい結婚シーンです。オーロラ姫が目覚めるロマンティックなシーンもおすすめできます。
あらすじを知ることで、バレリーナの細かい表情や仕草の意味を理解でき、よりいっそう物語に入り込んで鑑賞することができます。
バレエ鑑賞の際は「これは何を表現しているんだろう」と、あらすじを思い出しながら鑑賞してみてくださいね。