「くるみ割り人形」はチャイコフスキーの三大バレエのひとつに数えられる作品です。
クリスマスにぴったりの明るくて華やかな演出と、小さな子どもでも楽しめるような工夫が光ります。
この記事では「くるみ割り人形」のあらすじや、作品が生まれた背景をご紹介していきます。
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バレエ「くるみ割り人形」とはどんな作品?生まれた背景
「眠れる森の美女」の作曲をチャイコフスキーに依頼して成功をおさめた、マリンスキー劇場の支配人だったフセヴォロシスキーは次作もチャイコフスキーにバレエ音楽の作曲を依頼しました。
題材はドイツのE.T.A.ホフマンの童話 『くるみ割り人形とねずみの王様』。1892年に初演されました。
作品の制作は台本と振付を担当する予定だったプティパが病に倒れたことで、困難を極めます。代役のイワーノフはプティパとフセヴォロシスキーの板挟みにあい、苦しみながらつくりあげました。
初演の反応はまずまずで、大成功と呼べるようなものではありませんでした。そのため、定番の演出や振付がなく、現在でも新しい演出や振付が行われています。
しかし、それでも現在ではポピュラーな作品として、地位を確立しているのです。
全曲の演奏時間は約1時間25分となっています。録音や演奏会などでは、一部を抜粋されて演奏されることも多くあるようです。
三大バレエ「くるみ割り人形」のあらすじ-第1幕-
王子が誕生したシーンから始まります。
王子が誕生した際、そばにいた人間がネズミの女王を踏み殺したことが原因で、王子は呪われてしまいました。
呪われた王子はくるみ割り人形に変身してしまいます
・第1場
舞台はクリスマス・イブの夜。
ドイツのシュタールバウム家の大広間ではパーティーが行われていました。
少女のクララはドロッセルマイヤー老人から、クリスマスプレゼントとして、くるみ割り人形をもらいます。ところが、きょうだいで取り合いになり、弟のフリッツがくるみ割り人形を壊してしまいました。
ドロッセルマイヤー老人は壊れたくるみ割り人形を修理してくれました。
パーティは終わり、お客さんはみんな帰ってしまいました。夜は更け、みんなが寝静まったころ、少女クララは人形用のベッドに寝かせているくるみ割り人形の様子を観に行きます。
時計の針が12時をさした瞬間、少女クララの体は一気に小さくなりました。なんと、人形ほどの大きさになってしまったのです。
そこにはつかねずみの王様が率いる、はつかねずみの大群が少女クララに押し寄せます。
くるみ割り人形の指揮する兵隊人形たちは、はつかねずみの大群に対抗するのです。
しかし、最後はくるみ割り人形とはつかねずみの王様の一騎討ちになりました。
くるみ割り人形があわやというところで、少女クララがスリッパをつかみ、はつかねずみの王様に投げつけました。
そのスリッパ攻撃が効き、はつかねずみたちは退散したのです。
一度倒れたくるみ割り人形が起きあがると、凛々しい王子へと姿が変わっていました。
王子は少女クララをお礼にと、雪の国とお菓子の国に招待し、2人は旅立っていきます。
・第2場
雪が舞う松林に王子と少女クララがいるシーンに移ります。
三大バレエ「くるみ割り人形」のあらすじ-第2幕-
お菓子の国の魔法の城に到着した王子と少女クララ。
お菓子の精たちによる歓迎の宴が始まりました。
そのままフィナーレを迎えるのですが、劇末はクララがクリスマスツリーの足下で夢から起きる演出と、そのままお菓子の国にて終わる演出があります。
バレエ「くるみ割り人形」は明るくて楽しい
以上が「くるみ割り人形」のあらすじです。
見どころは第2幕です。くるみ割り人形が美しい王子の姿となり、クララを人形の国へ招待するシーンが見どころです。
クリスマスにふさわしい、明るく楽しいストーリー。大人も子どももワクワクしながら観劇できるバレエ作品です。
この記事であらすじを知ってから見ると、より鑑賞を楽しめるはずです。
「この演出は何を表現しているのか?」「なぜこの表情をしているのか」などを考えながら、ぜひ、バレエ鑑賞の深い魅力を感じてください。